「1スライド・1メッセージ」の罠
「1スライド・1メッセージ」。
これは、「スライド作成の基本原則」としてよく言われるものです。私自身も、社会人になりたての頃に先輩や上司からよく言われたものです。
ところが、この「1スライド・1メッセージ」という原則には、罠もあります。
それは、、、
・確かに、1メッセージにはしてみたものの、
・そもそも、これが、本当にここで述べるべきメッセージなんだっけ?
・そもそも、このメッセージを述べることに、意味があるんだっけ?
といった状態に陥ってしまうことがある、という点です。
勿論、大前提として、「メッセージが1つになっている(=1スライド・1メッセージ)」状態は、押さえておきたい点です。
一方で、より大事なのは、「そのメッセージが、“意味のあるメッセージ(本当に述べるべきメッセージ)”になっている」という点です。
つまり、本来の「答えるべき問い(論点/相手の問い)」に対する「答え(メッセージ)」になっているということです。
「1スライド・1論点」を意識する
改めて、「スライド作成」において大事なことは何か?
それは、「1スライド・1論点」という原則です。
“あれ、、、言っていることは「1スライド・1メッセージ」とそんなに変わらないのでは?”と思うかもしれません。
しかしながら、「1メッセージを意識する」こと以上にとても大事なのが、この「1論点を意識する」ことです。
つまり、「1メッセージである」ことを意識する前に、「そもそも、そのスライドを通じて、どのような問い(論点/相手の問い)に対するメッセージを述べるべきなのか?」を意識することが大事なのです。
※「論点」、「相手の問い」等については、『過去の記事(思考の基本技_論点思考、相手の問いに答える)』をご覧ください
「論点(疑問形)」ベースの“目次”を作成する
さて、「1スライド・1論点」の重要性について述べてきました。
最後に、「1スライド・1論点」を意識した資料作成のコツをお伝えします。
資料作成においては、まず初めに、
・「論点ベースの目次」を作成する
・その上で、「目次」を分解・詳細化し、ページ単位の「タイトル=論点(答えるべき問い)」を明確にする
ことが重要です。(勿論、大前提として、資料作成の目的を明確にした上で、、、です)
つまり、「この資料を通じて、どのような問い(論点/相手の問い)に、どのような順番で答えていくのか?」を明確にすることです。
また、「論点ベースの目次を作成する」際は、一旦、全ての「目次」を「疑問形」で表現してみることをオススメします。
例えば、以下のようなイメージです。(例:簡単な企画書)
—————————
・企画の「背景・前提」とは?
-企画の背景とは?
-押さえておくべき前提とは?
・企画の「狙い・ゴール(求めるアウトカム)」とは?
・企画において、「押さえるべきポイント」とは?
-狙い・ゴールの実現に向けて、押さえるべきポイント(全体像)とは?
-ポイント①_XXXとは?
-ポイント②_YYYとは?
-ポイント③_ZZZとは?
・押さえるべきポイントを踏まえた、「企画骨子」とは?
-企画の全体像とは?
-企画の具体的な中身(詳細)とは?
・実施に向けた、検討ポイント・擦り合わせポイントとは? 等々
—————————
<補足①>
資料を最終化する際は、全てを「疑問形」で表現する必要はないかと思います。
とはいえ、慣れないうちは、「目次」や「スライドごとのタイトル(論点)」を、全て「疑問形」で表現する練習を行った方が良いかと思います。
<補足②>
「1スライド・1論点」としてご紹介しましたが、、、必ずしも、“スライド1枚について、1つの論点”という訳ではありません。
場合によっては、「1つの問い」について、「2枚のスライド」でメッセージを述べることもあります。その場合は、「企画の背景とは?(1/2)」、「企画の背景とは?(2/2)」といった形のスライド構成にしていくことも可能です。
まとめ
さて、今回は、“「1スライド・1論点」のすすめ”という話をしてきました。
具体的には、資料を作成するに際は、
・「1スライド・1メッセージ」であること以上に、
・「1スライド・1論点」であることを意識することが重要
・なぜなら、「各スライドにおいて、メッセージが1つになっている(大前提)」ことの前に、
「そもそも、この資料を通じて、どのような問い(論点/相手の問い)に、どのような順番で答えていくのか?」を明確にすることがとても重要であるから
といったことを確認してきました。
如何でしょうか。皆さんは、「1スライド・1論点」を実践できているでしょうか?
ぜひ、日々の仕事においても、上記の点を意識・実践してもらえればと思います。
本ブログの狙い
本ブログでは、若手ビジネスパーソン向けの”応援ネタ(参考情報)”を少しずつ発信していきたいと思います。
皆さん一人ひとりが、“自身の目の前の仕事を再定義・プロジェクト化しながら「自分ならでは(個としての独自性・芸)」を磨き・極めていく”ことを願って。
※記事のテーマ・内容は、気の赴くままに。更新は不定期です。
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