思考の基本技_論点思考

考える力・伝える力

問題解決の出発点は、「論点」

若手ビジネスパーソンが、まずもって身に付けておきたいこと。それが、「論点思考」です。
この「論点思考」を呼吸と同じように“当たり前に実践”できるようになると、随分と仕事が楽しくなります。

さて、「論点」。この言葉は、ビジネスにおいては非常によく使われる言葉です。「イシュー」と呼ばれることもあります。(『論点思考(内田和成氏・著)』や『イシューからはじめよ(安宅和人氏・著)』も、随分と浸透していますよね)

では、なぜ、「論点」が重要なのでしょうか?「論点」とは、そもそも何なのでしょうか?

ここで、下記・2つのケース(具体例)を見てみましょう。

ケース①:
あなたは人事担当者。離職率向上が課題となっている中、“「人材流出を防ぐために、給与体系を見直すべきだ」との意見が社内で巻き起こった”場合

ケース②:
あなたは、ITソフトウェア企業の営業担当者。顧客から、“タレントマネジメントシステム(製品A)の提案を求められた”場合

さて、このようなケースに直面した場合、あなたなら、
“何を・どのように考え”、“どのようなアクション”をとりますか?

例えば、、、
ケース①の場合は、“実際に、給与体系の見直しを検討すべき”でしょうか?
一方で、ケース②の場合は、“素直に、製品Aの提案書を書くべき”でしょうか?

ここで大事になるのが、「論点」です。

上記のようなケースでは、“とるべきアクション”を決めるために、
まずは、“そもそも、どのような「問い」について論じるべきか・答えるべきか?”を明確にする
ことが重要です。
なぜなら、“「論点(=論じるべき・答えるべき問い)」をどのように立てるのか?”によって、
“検討すべき内容”や“その後のアクション”が大きく変わってくる
からです。

ここで、もう一度、先ほどのケースを見てみましょう。

ケース①:
あなたは人事担当者。離職率向上が課題となっている中、“「人材流出を防ぐために、給与体系を見直すべきだ」との意見が社内で巻き起こった”場合

このケースの場合、例えば、、、
「人材流出を防ぐために、どのような給与体系にすべきか?」という問いを立てた場合と、
「優秀な人材の確保・リテンションに向けて、何をすべきか?」という問いを立てた場合では、その後の“検討内容”や“アクション”が大きく変わってきます。

ケース②:
あなたは、ITソフトウェア企業の営業担当者。顧客から、“タレントマネジメントシステム(製品A)の提案を求められた”場合

また、こちらのケースの場合も、例えば、、、
・「製品Aを受注するためには、何をすべきか?(顧客に製品Aの魅力を訴求するためには、どのような提案書を書き・誰に・どのようなプロセスで提案していくべきか?)」という問いを立てた場合と、
「顧客の課題解決のためには、そもそも、どのようなソリューションを提案すべきか?(そもそも、顧客企業における人材・組織面での本質的課題は何で、それらを解決するためには、どのようなスコープで、どのような製品・サービスを提案すべきか?)」という問いを立てた場合では、
“顧客への提案内容そのもの”や、“アクションの取り方”が大きく変わってくるでしょう。

このように、“「論点(=論じるべき・答えるべき問い)」をどのように立てるのか?”によって、
“その後の検討内容・アクション”が大きく変わってきます。

そして、だからこそ、
とるべきアクションを決めるためには、まず第一に、“「論点(=論じるべき・答えるべき問い)」を明確にする”ことが重要です。

「論点」とは?

ここで改めて、“「論点」とは何か?”について、おさらいしておきましょう。

論点とは、すなわち、「論じるべき・答えるべき問い(Question)」です。

具体的には、
●「とるべきアクションを決めるために、今、論じるべき・答えを出すべき問い」
のことです。

例えば、先程のケースで言えば、、、

・人材流出を防ぐために、どのような給与体系にすべきか?
・優秀な人材の確保・リテンションに向けて、何をすべきか?

・製品Aを受注するためには、何をすべきか?
・顧客の課題解決のためには、そもそも、どのようなソリューションを提案すべきか?

といった「論点(=論じるべき・答えるべき問い)」を挙げました。
そして、“どのような「論点(=論じるべき・答えるべき問い)」を立てるのか”によって、とるべきアクションが変わってきます

先程のケース以外にも、「論点(=論じるべき・答えるべき問い)」の具体例として、、、

・XXの実現に向けて、〇〇システムを導入すべきか?(否か?)
・XXのために、〇〇を購入すべきか?(否か?)
・〇〇さんを、マネージャーに昇格させるべきか?(否か?)
・〇〇社に、転職すべきか?(否か?)
・社員の主体的学習を促すためには、どのような学習環境を構築すべきか?
・若手社員の論点思考力を底上げするために、どのような施策を講じるべきか?

等々、様々な論点が考えられます。

いずれにせよ、“とるべきアクションを決めるための問い”、それが、「論点(=論じるべき・答えるべき問い)」です。
そして、上記のように、「論点」は必ず“問いの形(疑問形)”をとります

まずは、「主論点」を明確にする

さて、ここまでで、“なぜ、「論点」が重要なのか?”、“そもそも、「論点」とは何か?”について考えてきました。

では、「論点思考」は、実際にはどのように進めればよいのでしょうか?
論点思考の“基本ステップ”
は、下記の通りです。

———–

①「主論点」を明確にする/設定する:
・とるべきアクションを決めるために、“今、論じるべき・答えを出すべき「問い」(何について答えを出すべきなのか?)”を明確にする
②「サブ論点」に分解し、「仮説」を構築する:
・“どのような点(=サブ論点)”について考えれば/答えを出せば、“主論点に対する結論”を導くことができるのか?を考える
・サブ論点に対して、“自分なりの仮説_現時点において、最も確からしい仮の答え”を構築する(ポジションをとる)
③「仮説」を検証し、「答え(結論/メッセージ)」を導出する:
・“サブ論点に対する検討~仮説検証(含む、調査・分析)”を行い、各サブ論点、及び主論点に対する“答え(結論)”を導出する

———–

改めて、論点思考の第一ステップは、“「主論点」を明確にする/設定する”ことです。
「主論点」とは、検討を通じて“最終的に答え(結論)を出したい問い”のことであり、この「主論点」を明確にする/設定することが最も重要であり、問題解決のすべての出発点となります。
(人によっては、主論点のことを大論点と呼んだりもします)

なお、“「主論点」を明確にする/設定する”ためには、、、

1. (そもそもの)「検討の背景・狙い(含む、相手の真意)」を確認する
2. 「前提(与件)」を確認する
3. (上記を踏まえ、)改めて、「本検討において本当に実現すべき/したい目的・ゴール(To-be)」を明確にする

ことが重要です。そして、“これらの3つをどのように捉えるのか?”によって、設定すべき「主論点(=論じるべき・答えるべき問い)」も大きく異なってきます。

「主論点」を、「サブ論点」に分解する

さて、次は、論点思考の第二ステップです。
「主論点」を明確化/設定した後に行うべきこと。それは、「論点分解=サブ論点の設定」です。

ここで、思い出しておきましょう。
「主論点」とは、検討を通じて“最終的に答え(結論)を出したい問い”のことでした。

通常、この「主論点」に対して“いきなり答えを出そう”としても、“何から考えればいいのか分からない”という状態に陥ってしまいます。

そこで大事になるのが、「主論点(大きな問い)」を「サブ論点(小さな問い)」に“分解する”という考え方です。

少し、簡易的な例を見てみましょう。

例えば、人材開発部門の担当者であるあなたが、
「若手社員のロジカルシンキング力を強化するために、どのような施策を講じるべきか?」という「主論点」について検討するとしましょう。
この場合、この「主論点(大きな問い)」に答えるためには、以下のような「サブ論点(小さな問い)」に分解して考えることで、より、結論を導きやすくなります。

・そもそも、“若手社員に求めるロジカルシンキング力(求めるTo-be)”とは?職場/担当業務において、“具体的にどのような思考・行動を実践”できればよいのか?
“求める状態(To-be)”と“現状(As-is)”との間のGAP(具体的な課題)とは?
・Gap(課題)が生じている“要因”は何か?施策の検討にあたり、“押さえるべきポイント”とは?
・上記を踏まえ、若手社員の「ロジカルシンキング力」を強化するためには、どのような施策を講じるべきか?

ここで、もう1つ具体例を見ておきましょう。
例えば、ITソフトウェア企業の営業担当者であるあなたが、新規顧客へのソフトウェア製品の提案に際して、「導入後の保守サポートについて、顧客に安心・納得してもらうためには、どのようなアクションをとるべきか?」という「主論点」を設定したとしましょう。

このケースの場合は、「主論点(大きな問い)」を、以下のような「サブ論点/サブサブ論点(小さな問い)」に分解して考えることで、より、結論を導きやすくなります。

・顧客は、なぜ不安に思っているのか?懸念点は、どのような点か?(Why・Where)
– 顧客が“特に重視している/不安に思っているサポート”は、どの部分か?
– 求めるサービスレベル・コスト・スピードは、どの程度か?また、その理由は何か?

・上記を踏まえ、顧客に「何を」伝えるべきか?(What)
– 顧客のニーズ(懸念・不安)は、自社のサービスでどのように対応・満たせるのか?
(代替機能・サービスでの対応等も含めて)
– 既存システムと比べた場合に、サービスレベルの低下(マイナス面)は発生しないか?
発生する場合、マイナス面を補う方法とは?

・具体的に、「どのように」伝えるべきか?(How)
– 顧客に納得感/安心感を与えるためには、どのように説明すべきか?
例)他社事例での説明、導入ユーザーへの訪問、営業責任者/カスタマー責任者による説明

さて、いかがでしょうか。“「主論点」の「サブ論点」への分解”について、イメージできましたか?
とはいえ、この“「サブ論点」への分解”は、論点思考の中でも難しいステップです。

ここでは、「主論点」を「サブ論点」へ分解する際の“基本的な考え方”のみご紹介しておきたいと思います。

<「主論点」を「サブ論点」へ分解する際の“基本的な考え方”>
「主論点」を「サブ論点」へ分解する際は、
・“どのような点について考えれば/答えを出せば”、“主論点に対する結論”を導くことができるのか?
・“具体的に何が分かれば”、“主論点に対する意思決定”ができるのか?
といった点を考えることが重要です。

(※この時、「サブ論点」への分解が、主論点に対して“意味のある分解(=そのサブ論点に答えるだけで、主論点に対する結論を説明/根拠付けられる)”になっていることが重要)

加えて、「サブ論点」と「主論点」の関係性の観点では、、、
“サブ論点(=主論点に答えるために押さえるべき/考えるべきポイント)”に答えることで、結果として、大元の“主論点に対する答え”が明確になる、という関係性が成り立つことが重要です。

いずれにせよ、この論点分解においては、上記の点を意識しながら、トップダウン思考とボトムアップ思考の双方を行き来しながら(試行錯誤しながら)、“論点の構造(主論点に対して意味のある分解)”を明らかにしていくことが重要です。

(※当社の研修では、論点分解における“より具体的なポイント/Tips”や“論点分解の代表的な型・事例”等もご紹介しております)

まとめ

さて、今回は、若手ビジネスパーソンにとっての必須スキルである「論点思考」について紹介してみました。

具体的には、
“「論点(=論じるべき・答えるべき問い)」をどのように立てるのか?”によって、“その後の検討内容やアクション”が大きく変わってくる
・まず第一に、“「主論点」を明確にする/設定する”
・「主論点」を明確にした/設定した後は、“「サブ論点」へ分解する”
ことの重要性について確認してきました。

ぜひ、日々の仕事においても、「論点思考」を意識・実践してもらえればと思います。

本ブログの狙い

本ブログでは、若手ビジネスパーソン向けの”応援ネタ(参考情報)”を少しずつ発信していきたいと思います。
皆さん一人ひとりが、“自身の目の前の仕事を再定義・プロジェクト化しながら「自分ならでは(個としての独自性・芸)」を磨き・極めていく”ことを願って。

※記事のテーマ・内容は、気の赴くままに。更新は不定期です。

<人事/人材開発ご担当者の方へ>
若手社員向けの研修・トレーニング等のご相談は、こちらまでお問合せください